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肝臓・胆道・膵臓膵癌に対する集学的治療

あきらめない膵がん治療 〜外科治療を軸とした集学的治療〜

膵がんは消化器癌で最も難治であり、増加傾向にあります。しかし、近年の手術手技、化学療法、放射線治療の進歩により治療成績の改善が認められています。外科切除は根治を唯一可能とする治療ですが、切除のみでの治療成績には限界があります。現在では切除可能膵癌に対しは、術後補助化学療法に加え術前化学療法の有効性が示され、標準治療となっています。さらに進行した症例では術前の化学療法や化学放射線治療と拡大手術により治療成績の向上を認めています。特に初診時切除不能であったものが化学療法や化学放射線療法の著明な奏功により、切除可能となり長期生存する症例も増加しています(コンバージョン手術)。一方、早期診断例も増加傾向にあり、前がん病変として重要な膵管内乳頭粘液性腫瘍や慢性膵炎に対する手術も積極的に行っています。

これらの治療を可能とするため、当院では膵がんに対する各診療科・部門横断的な診療体制を構築し、個々の病態、進行度に応じ、あきらめない膵がん治療、最適な膵がん治療の提供に努めています。進行例には血管・他臓器合併切除を含む拡大手術を、早期から低悪性度病変には臓器機能温存手術やロボット支援下手術・腹腔鏡下手術を積極的に行っています。

局所進行切除不能膵がんに対するコンバージョン手術

2014年から2023年の期間、当科では初診時切除が不能であった局所進行膵がん101例に対し、抗がん剤治療や放射線療法を行い奏功した 34例にコンバージョン手術を施行し(切除率33.7%)、良好な治療成績を得ています。
初回治療から手術までの期間は中央値で8ヶ月(3-22ヶ月)でした。

局所進行切除不能膵がんに対するコンバージョン手術のグラフ

コンバージョン手術症例

コンバージョン手術症例 化学療法前(切除不能)と化学療法・化学放射線療法14ヶ月後の違い

初診時切除不能であったが、12ヶ月間の化学療法後に化学放射線療法を行った。CTで腫瘍は著明に縮小し、腫瘍マーカー、PETでの集積も陰性化した。コンバージョン手術(腹腔動脈幹合併膵体尾部切除術)を行った。術後12ヶ月無再発生存中。

コンバージョン手術症例 化学療法前(切除不能)と化学療法・化学放射線療法14ヶ月後の違い

初診時切除不能であったが、4ヶ月間の化学療法後に化学放射線療法を行った。CTで腫瘍は著明に縮小し、コンバージョン手術(腹腔動脈幹合併膵体尾部切除術、門脈合併切除、右外腸骨静脈グラフト再建術)を行った。術後32ヶ月無再発生存中。

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