肝臓・胆道・膵臓:臨床研究について膵頭十二指腸切除術後出血の予後に関与する要因の解析(多施設合同研究)
本研究は藤田医科大学の医学研究倫理審査委員会で審査され、近畿大学医学部長の許可を得て実施しています。
1.研究の対象
2009年1月1日〜2023年12月31日に近畿大学病院で膵頭十二指腸切除術(PD)を受けられ,膵切除後出血(PPH)を発症した方。
2.研究目的・方法・研究期間
膵頭十二指腸切除術(PD)は手術の技術が進歩し、安全に行えるようになってきました。しかし、それでも術後に膵切除後出血(PPH)が発生することがあります。この出血は、10〜20%の割合で命に関わることがあり、大きな問題です。
この研究では、PD術後に発生するPPHに対する治療の効果を調べます。また、出血後の予後(回復の見込み)に関係する要因を明らかにすることを目的としています。具体的には、出血量や止血までの時間が、出血による死亡や肝不全にどのように影響するか,血管内治療(IVR)の内容や、肝臓の血流、肝臓のダメージがどのように関係するか,を解析します。この研究を通じて、治療法を改善し、出血や肝不全による死亡のリスクを減らすことを目指しています。
この研究では、これまでの診療記録を使用します。そのため、新たに検査や治療を行うことはありません。対象となる方の電子カルテから、年齢、性別、病歴、手術内容、術後の経過などの情報を収集します。追加で病院に来ていただいたり、新たな検査を受けたりする必要はありません。収集した情報は、匿名化(個人が特定されない状態にする)した上で管理されます。情報を識別するためのコードを付け、対応表は安全なパスワード付きのコンピューターで管理します。情報の管理は、研究責任者と研究協力者が厳重に行います。集めたデータは、統計的な解析を行い、PPH後の予後に影響する要因を調べます。たとえば、PPH後の死亡率や再出血、肝不全の発生率について分析します。
この研究は、倫理審査委員会で承認された日から2029年3月31日まで実施します。
3.研究に用いる試料・情報の種類
この研究では、対象者の診療データを電子カルテから収集し、データ解析を行います。以下は、収集する情報の内容です。
- 年齢、性別、身長、体重,術前の肝機能,既往歴(高血圧、糖尿病、腹部の手術歴、中枢神経や心臓、腎臓の病気、抗血栓薬の使用)
- 手術日,手術時間,出血量,門脈や動脈の合併切除・再建の有無,膵腸吻合の方法
- 膵液瘻や胆汁漏の有無
- 出血日・時刻,出血後24時間の赤血球輸血量,ショック・昇圧剤使用,人工呼吸器管理,ICU入室,心停止の有無
- 出血部位,肝動脈への影響の有無,側副血管の有無,門脈の血栓や狭窄の有無
- 血管内治療の内容,再出血の有無,止血術後の治療
- 出血直前と止血術翌日の血液検査(Hb,Ht,AST,ALT,LDH,T.Bil,D.Bil),肝不全の有無,肝膿瘍の有無,胆管狭窄・胆管炎の有無
- 生存/出血死/肝不全死/その他の死,転帰日(死亡日/退院日)
4.外部への試料・情報の提供
データセンターへのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、当センターの研究責任者が保管・管理します。
5.研究組織
研究代表者:
藤田医科大学 総合消化器外科 教授 髙原武志
共同研究機関:
神戸大学 研究責任者 外科学講座 肝胆膵外科分野 教授 福本巧
京都大学 研究責任者 肝胆膵・移植外科 教授 波多野悦朗
近畿大学 研究責任者 外科学教室 肝胆膵部門 教授 松本逸平
6.除外の申出・お問い合わせ先
試料・情報が本研究に用いられることについて研究の対象となる方もしくはその代諾者の方にご了承いただけない場合には、研究対象から除外させていただきます。下記の連絡先までお申し出ください。その場合でも、お申し出により、研究の対象となる方その他に不利益が生じることはありません。
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
また、ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
近畿大学医学部 外科学教室 肝胆膵部門
研究責任者:主任教授 松本 逸平
研究分担者: 助教 阿見 勝也
電話:072-366-0221(内線:6786)
Mail:amikatsu.0511@gmail.com
<企業等からの資金提供なし、研究者のCOIなし>
この研究は、企業等からの資金提供は受けていません。また、この研究に関連する企業と研究者等との間に、開示すべき利益相反はありません。