胃癌腹膜播種に対する腹腔内化学療法について
胃がんの転移のうち、最も多く、また、治療が難しいのが腹膜播種です。また腹膜播種は胃がん手術後に不幸にして再発する場合にも最も頻度の高いものです。
腹膜播種は、胃がん細胞が大きくなり胃の壁を突き抜け、壁の外にこぼれ落ち、腹膜に付着して発育するという転移様式です。腹膜にがん細胞が広がると、手術で治すことはできません。そのため、腹膜播種の治療は抗がん剤が中心となりますが、十分に効果のある治療法は未だ確立されていません。その理由として、腹膜播種には抗がん剤の内服や点滴などでは薬が届きにくいことがあげられます。
そこで、近畿大学病院外科学教室では腹膜播種に対して、パクリタキセルという抗がん剤を腹膜播種の存在する場所に、抗がん剤を投与するための腹腔ポートを用いて直接投与するという方法をとっています。この方法は海外では既に卵巣がんを中心として行われており、安全性や有効性も確かめられていますが、残念ながらこの治療法は、現在のところ胃癌に対しては保険が適応されていません。
そのため、これまでは厚生労働省が定めた「先進医療」や「患者申出療養制度」という制度に基づいて本治療を実施してきました。しかし「患者申出療養制度」は2017年6月27日に、「先進医療」は2018年4月26日に終了しており、現時点ではこれらの制度を用いて腹腔内化学療法を受けることができません。
それでも「腹腔内化学療法を受けたい」という患者さんは数多くおられます。そのご希望に応えるため、近畿大学病院外科学教室では、本治療法が保険適応されるまでのあいだ自由診療によるパクリタキセル腹腔内投与療法を実施できる体制を整えました。
腹腔内化学療法の著効した症例には、審査腹腔鏡で腹膜播種に対する治療効果を確認し、消失して根治切除可能であれば積極的に切除(conversion surgery)を行っています。その結果、他の医療機関で「予後は3ヶ月」との告知を受けた患者さんでも、長期にわたり通院されている方が数多くおられます。
詳細は近畿大学病院 がん相談支援センターまでお問い合わせください。
近畿大学病院 がん相談支援センター
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