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食道・胃・十二指腸グループの理念

上部消化管外科グループの理念

私達が最も重視していますことは、"医師たる前に人として尊敬されるべし"ということです。「人が人を治療する」ということの責任とその意味を自覚し、自らを律し、人の意見を聞く開かれた心を持ちつつ、自らの知識と技術の向上を継続していかなければならないと思っています。そして、可能性を求めてポジティブに思考し、自らの能力を最大限に提供して、常に患者そして病気と正面から向き合って治療にあたることを心がけて診療にあたっています。近年は治療リスクの話がよく取り沙汰されますが、治療は全てリスクを伴うものです。しかし、癌治療で最も配慮されなければならないことは、患者さんは'癌'という、何もしなければ命を蝕まれるリスクをもった病気に患っているという事実です。リスクを恐れて何もしないことこそ医師として恥ずべきことと考えます。医療は誰のためにあるものか、私達は何のために医師になったのかをよく考え、治療のリスクを越えて患者さんに希望と安心が提供できるよう取り組んでいきたいと思っています。そして、困難な症例であっても通常の経験とデータを基に簡単にあきらめることはせず、"できないではなく、どうしたらできるか"、"何ができるか"を考えて、「私達の限界が患者さんの治療の限界にならないよう、私達の総力で限界を越える方法を考え、患者さんと共にリスクを乗り越えていく」、そういうチームでありたいと考えています。

しかし、医療は私達が考える治療を一方的に患者さんに提供するものではありません。また、患者さんはそれを一方的に受けなければならないというものでもありません。治療の中心は、治療を受ける患者さん自身です。私達は、患者さんの正確な病状とそれに対する有効な治療の選択肢およびその利点・欠点、ならびに全身の臓器機能からみて受けられる可能な治療はどれかに関する情報を提供します。患者さんからは、病状や治療に関するあらゆる疑問や悩み、希望を私達にぶつけて頂きます。その中で本当に患者さんが納得し、満足できる治療を選択していくことが重要と考えています。常に最も治癒率の高い治療がベストの治療とは限りません。それぞれの患者さんの価値判断で最も総合点の高い治療がその患者さんのベストの治療です。その意味で、私達が如何に患者さんにわかりやすく、かつ正確に情報を伝えるかが大きな鍵を握っています。そして、方針が決まれば患者さんと共に同じ目標に向かって、共にリスクを背負いつつ、患者さんに代わって病気の治療を行うという大きな責務を果たしていきたいと思います。ただ、実際に奮うメスが結果を左右することはいうまでもなく、私達の強い意志と患者さんの願いおよび私達に対する信頼の心がメスに宿った時、初めてそのメスが最強の武器になるということを強く自覚しなければならないと考えています。日々メスと心に磨きをかけることを忘れず、望む最高の結果を目指して、総力を挙げて取り組んでいくことで患者さんの信頼に応えていきたいと考えています。

「今日はこれまででベストの手術をしよう!でも、明日は今日より更にベストの手術を目指そう!」

この言葉をチームで共有し、常に手術に臨むことが私達の信条です。

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