一般の方へ 診療案内

ホームへ戻る

肺・胸部縦隔疾患

縦隔疾患について

左右の肺に挟まれた領域を縦隔と呼び、心臓・大血管・気管・食道・胸腺・リンパ節などが含まれます。これらに発生する腫瘍(腫瘤)を総称して縦隔腫瘍と呼び、具体的には胸腺腫、胸腺癌、奇形腫、リンパ腫、神経鞘腫(神経原生腫瘍)、異所性(本来と異なった場所に発生する)甲状腺腫など良悪性さまざまな腫瘍があります。腫瘍以外では、気管支や胸腺、心膜、食道などに関係した嚢腫(中に液体を入れた袋)や炎症性の腫瘤などもあります。

検診で偶然見つかり無症状の場合が多いですが、圧迫症状や痛み、熱などの症状を呈することもあります。

手術の必要性

縦隔腫瘍には、手術以外の治療を行うものがあります。しかし、手術によって確定診断がつくものが多く、診断の確定と腫瘍の摘除の目的を兼ねて手術を行うことがあります。ほかに、悪性病変が否定できない場合や腫瘍による周辺臓器の圧迫症状を解消することなどを目的に手術を行います。重症筋無力症という病気では、胸腺腫を伴う場合とそうでない場合がありますが、神経内科との連携のもとに胸腺腫や胸腺の摘出術を行っています。 手術のあと、放射線・化学療法(抗がん剤など)の治療を組み合わせる場合があります。

手術のアプローチ

腫瘍の性状・大きさや場所などによって適切なアプローチ法を選択します。主な方法は次の通りです。

  1. 胸腔鏡下手術: 肋骨と肋骨の間に2cm前後のキズで3~4箇所程度の小さな穴をあけ、胸腔鏡(カメラ)による映像を見ながら手術を行います。通常は右左どちらかですが両方からアプローチすることもあります。
  2. 肋間開胸:数cm~十数cm皮膚切開をして、肋骨に沿って胸をあけて手術を行います。
  3. 胸骨正中切開:前胸部の中央に20cm前後の皮膚切開をおき、その深部にある胸骨という骨を縦に切開して前縦隔に到達します。おもに前縦隔腫瘍や重症筋無力症の手術の時に選択します。手術終了時は金属ワイヤーで胸骨を縫い合わせます。

これらのアプローチを組み合わせることもあります。上縦隔腫瘍では鎖骨の上も切開して2方向から操作することもあります。

手術の危険性

縦隔腫瘍手術4142件での、術後30日以内の死亡率は(2008年全国集計)0.1%でした。

このページの最上部へ戻る