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大腸・小腸下部直腸癌に対する肛門温存手術

従来、肛門に近い下部直腸癌には早期癌であっても直腸切断術(マイルズ手術)が選択され永久人工肛門が造設されましたが、近年の手術機器の進歩や、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術の導入により、下部直腸癌でも肛門を温存できる可能性が増えてきました。それを可能とする手術方のひとつが究極の肛門温存術といわれるISR(InterSphincteric Resection:括約筋間直腸切除術)です。

ISRでは、肛門を閉鎖する筋肉のうち内肛門括約筋のみを切除し外肛門括約筋は残して自然肛門を温存します。術後癌の再発を考慮すると、腸管の固有筋層を超えるような局所進行癌は適応にはなりにくいですが、早期癌に適応を限れば直腸切断術と同等の根治性が得られると報告されています。一方、内肛門括約筋を切除することにより術後の肛門機能が低下し、10%弱の患者さんが便失禁など術後の後遺症に悩まされるというデメリットもあります。

上記のように全ての下部直腸癌の患者さんがISRの適応となる訳ではありませんが、癌浸潤が直腸の固有筋層を超えず(T2以浅)、肛門温存の希望が強い患者さんには重要な選択肢のひとつとなり得ます。

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